文楽をめぐる騒動記

 
大阪維新の会が東の方を向いて動き出しており、大阪のいろいろ市政改革に対してもはや興味関心を失ったかのような今日この頃であるが、今なお、H24年度補正予算によって縮減された文化・芸術への補助金はそのままである。
 
特に、文楽協会への補助金をめぐっては人間国宝・吉田住大夫さんとのマスコミ・フルオープンでの話し合いという「条件付き予算執行」などを主張した橋下市長は、おそらくこれをご覧になっている方々の想像通りの思惑をお持ちであろう。
”予算編成権”を盾に、補助金が欲しいなら平身低頭お願いしなければ、当たり前のように税金を投入している芸能が採算も合わないような興行でぬくぬくとしているのはけしからんという。
 
竹本住大夫さん他もう一人の技芸員さんも心労のため入院中である。
 
文楽は、①文楽協会②文楽劇場③技芸員さん(人形遣い・三味線・語り)のトライアングルで運営されているが、総合プロデュースやプロモートする仕組みがない。
お客さんがたくさん入ろうが入らなかろうが、あまりそれぞれに影響が少ないらしい。
東京の国立劇場とよく比較されるが、客席数が東京の方が少ないので、満員御礼になりやすさが違うため、単純比較はできない。
 
むしろ、東京公演の時に大阪の国立文楽劇場がカラになる。その間は大阪で文楽は観ることができない。大阪人も観たことが無い人が多い。これは是非ひと工夫が必要と感じる。
 
さらに、技芸員さんは82名しかおらず、もっと裾野を広げ、魅力ある大阪発祥の芸能を残すには絶対数が少ない。世界無形文化遺産に指定され、日本より世界で評価を受けている三人遣いの人形劇・浄瑠璃をこれからもがんばって残していただきたい。
庶民に愛され、庶民が育て、何百年もの間、盛衰はあったものの、大阪の誇る文化をたった一人の人間の意思や好き嫌いで簡単に壊されてはならない。
 
今回の騒動で、文楽の入場者が4割増え、”橋下効果”などと言われているが、近松の脚本に不満を漏らし「演出が古臭い」と感想を言い、なおかつまだもう一度マスコミフルオープンでの懇談をと申し出たことを考えれば、評価に値しない。
 
また、こども文楽デー等の試みも、歴代の市長は必ず出席してきた。橋下市長が始めたものではない。これまでずっと文楽が大阪市や地元の学校で出前講座などの形で貢献してきた歴史があり、昨日今日始まったことではない。そこから新しく弟子入りした技芸員が育って活躍している事を、われわれはよく知っている。
 
歌舞伎や能の世界とはまた違い、世襲制も家元制度もない伝統芸能の世界・・・・
ぜひ皆さんも分かりやすく、親しみやすい演目から入って行かれてはいかがであろうか。
 
*この質疑は文楽・大フィル・市民音楽団の予算カットに寄せて6月7日に文教経済協議会において、当局に問いただしたものです。
 
北野たえこ