教育に寄せる思い

教育基本法は準憲法的性質を有し、国家の根幹にかかわる大切な法律です。しかし現行の教育基本法の制定当時は日本がアメリカの統治下にあり、草案にあった「伝統の尊重」の文言が、通訳によって「封建社会の尊重」と誤って翻訳されたため消えてしまっていたという事実が近年になってわかったそうです。

こうして日本固有の歴史観や伝統や文化への愛情を育てるという教育理念は、戦後60年間欠落したままになっているのです。

日本人が大切にしてきた自然観や生命観、道徳、また継承されてきた伝統と文化、日本固有の生活様式に改めて光をあてて明文化しようという動きが活発になってきています。

核家族化が進み、家の中におじいさん・おばあさんがおられず、折に触れ季節の移り変わりや、旧暦・農歴に因んだ風習を口承するという機会もありません。地方の都市化が進み、暑さ・寒さとは無縁の人工的な快適住空間や食生活が約束され、季節の移り変わりの微妙な変化を感じることもありません。

しかし、日本は南北に長く、はっきりした四季があり山河の自然に恵まれた美しい国であることは間違いなく、それゆえ独自の文化や土地固有の風習も残っているはずで、それらを子々孫々まで伝え残していくことは現代を生きる我々の使命であるという気がします。

その意味においても、教育の基本的な考え方を謳った教育基本法にこの「伝統・文化の尊重」の精神はきちんと盛り込まれるべきであると考えます。

さらに、日本の国の良さや独自性を自覚する事によって、自国を誇りに思ったり、国を愛する気持ちも芽生えたりもします。

自国民である事の誇り調査を行なうと、約半数の人しか国を誇りに思わないという結果にあまり驚かない人も多いのではないでしょうか。
なぜなら、日本の国の良さを余りにも私たちは知らされていないからです。

その上、現在文科省認定の歴史教科書の大半は日本が戦争中こんな悪い事をアジアの人たちにしてきたと記述しています。

これでは日本の子供たちは日本の国や大人たちを好きにはなれないのも当然です。
自分の生まれた国、自分の住む国が嫌いと言ってはばからない子供たちを育てたのは、一体誰なのか?よく検証する必要があるのではないでしょうか。

また最近の抗日運動で皆さんご存知とは思いますが、日本の侵略政策を美化した歴史教科書を使っているのはけしからん、という中国・韓国の首脳たちの言い分ですが、文部大臣を経験した町村外務大臣が実際に中国の外相に「日本の歴史教科書を読んだことがありますか」と問いただすと、「読んだことはない」と明言した事は有名になりました。

これを機にお互いの歴史教育の現場で使われている教科書を交換しての確認作業が初めて行なわれたというのですから、驚きです。

ぜひ両国の教育現場で、歴史がどのように教えられているかの調査結果を注目したいと思っています。

私は海外に約8年住んだ経験があります。その際、学齢期の子供を帯同するにあたって、海外子女教育財団という文部省の外郭団体に教科書を受け取りに行きました。その所長さんにお話を伺う事ができた時に、実に印象的に憶えている言葉があります。

その方はこう仰いました。
「どこの国で教育を受けようと、お宅のお子さんは日本人です。日本人としての誇りと自覚を子供のときに教えるのは、お母さんしかいません。歳時記という日本にはすぐれた日本人の生活の知識がつまった書があります。ぜひそれを一冊だけでいいから持って行かれることをお薦めします。なかなか地域によっては実践するのは難しい事もあると思いますが、子供さんたちにお話だけでもいいから、今日はこんな日で、日本では古くからこんなことをして今日の日を過ごすのだよ、と語ってください。」物静かな学者風の紳士でした。

結局はそれを実践する事はなく、忙しい毎日に流されてしまったわけですが、今日しみじみとその意味が理解されます。

子供たちは日本人学校に通い、日本語でそのほとんど全てを過ごす環境で5年間生活しました。ですが、やはり外国を意識しない日は一日もなかったわけです。彼女達の人格形成にどのようにそれが影響しているかは分かりません。ですが、子供たちは口を揃えて日本は素晴らしい国だ、といいます。
それを聞いて少し安心しました。

今年の大阪市議会1月本会議で、教育基本法改正に関する賛成決議がなされました。これは全国に遅れはとらないものの、先進的な決議とは言えず、もっと早い時期に賛成決議を出して欲しかったと思います。

ところが、肝心の今国会では、教育基本法の改正が政治日程から序盤ではずされてしまいました。愛国心という文言をめぐって、与党案作成段階でのすり合わせができなかったためと言われていますが、憲法改正の論議がにわかに熱を帯びてきているなか、大変残念です。ある会合で教育基本法の改正がいよいよ今国会で議論されるので是非関心を寄せてくださいとお話をしてしまい、少々勇み足に過ぎたと反省しています。

しかし、現在最も熱い視線が注がれている憲法改正論議ですが、3月に提出された自民党の新憲法素案の中で、中曽根元首相が中心になって作成した世界平和研究所の出した憲法前文草案を読んで、溜飲を下げました。

すぐれて格調が高いのに平易な美しい日本語で、内容が日本国に対する愛情であふれています。

「われら日本国民はアジアの東、太平洋の波洗う美しい北東アジアの島々に歴代相承け、天皇を国民統合の象徴として戴き、独自の文化と固有の民族生活を形成し発展してきた。」

ようやく憲法改正論者が軍国主義者と思われるような時代は過ぎ去ったと思われますが、九条をめぐってはまだまだ議論は最終コーナーに入ったばかりです。しかし国際貢献のありかたをめぐっても、国連の安全保障常任理事国入りを眼中に入れた、国連軍への自衛隊派遣の身分保障の問題。にわかに現実味を帯びてきた女性天皇容認論も与野党内で大勢を占めつつあると申しますし、今年は戦後60年。還暦という節目の年にふさわしく、国民レベルでの“このくにのかたち”を考える年になればと思います。

日本はほとんど資源のない国で、これだけの国力を維持しこれからもその生活を保証してゆくためにはやはり人的資源に頼らざるを得ず、つまり人を育てる「教育」が担っている役割は、日本の国の将来を大きく左右していると考えています。現在の教育がかかえるさまざまな問題を真剣に検証し、地方から中央に対していろいろな提言を行なったり、新しい試みを地方で始めてみることは分権の時代にふさわしい
意味のあることだと思います。

また、学力低下の問題、ゆとり教育の是正の問題、ジェンダー教育をめぐる問題、教師側の教育力低下の問題など、さまざまな問題をかかえているこのテーマは私自身が取り組んでいきたい大きな課題であると認識しております。