シンガポール視察 平成26年1月26日(日)~1月29日(水) 3泊4日
キャンベラ小学校

 午後からは総児童数1600名、職員数130の公立小学校へ。1㎞徒歩圏内で通学してくる多民族の子供たちが共に学ぶ、ごく一般的な公立小学校でのフューチャースクール実例だ。
まず大変熱い、黄宝満校長先生のプレゼンテーションを伺った。デバイス(携帯電話やiPad)が子供を“あやすもの”であってはならない。そのもの自身に害はないが、価値を教えて初めて役立つ。
これから獲得するであろう言語の質にも影響を与えてしまう。

◎デバイス選び
・サイズも適切で、落としても大丈夫な使いやすいものでなくてはならない。
・最新のものがBESTではない
・6~7歳くらいの子供は大きいものを書きたい、描きたいという欲求がある
・6時間チャージしないで済むもの
・After-sales Supportがあるもの
・学校外で使えるもの

⇒ iPad  に決まった経緯を聴いた後まずは教室へ参観(約30分)
モニターで全体指導の後、グループに分かれ、
個人が自分なりの工夫をしてiPad で課題を
こなす。この児童たちは4ヶ月で使えるように
なったという。

・キャンベラExperience に至るまで、校長は1997年始まったマスタープラン1にかかわっていたが、シンガポールも同じく試行錯誤の時期があった。“コンピューターはあればすぐ使えばいいというものではない”。

・マスタープラン2からマスタープラン3ではじめて協力し合いながら、目に見えない所が大切だということを学ぶ

・現在、マスタープラン4の段階である。

①アップル社に出向いて何が必要か、さまざま検討を行う。子供たちにはまだiPadを与えていない。
デバイスを学校が買うか、保護者が買うかなどを検討し、保護者が買うことにする。その結果はのちのち正しい方針だったことが、今まで1度も壊れた例がないことで証明された。
     Cf. 経済的に買えない子には48 S$ ( 意図的に無料にはしない)
②教師のスキルアップを図る
➂家族で分かち合える時間をとる:家へ持ち帰らせる
  保護者には1:1でデバイスを使うことをオリエンテーションする
④先生同士が共通認識を持ち合う、保護者同士に学び合わせる
⑤父母と子供の間で、iPadは学習のために使うということ大切に使うことなど誓約をさせる。
  渡し方もカードを添えて素敵なギフトバッグに入れて、子供に父母から渡す、というプロセスを踏むことが大切である。

①~⑤に1年かけてようやく子供たち一人1台のiPadを手にする。保護者もこの時点までには95%が賛同をし、喜んで子供にiPadを買い与えることができるようになっている。
時間をかけて、保護者も子供もiPad を大切にし、iPad を仲立ちに教育にも関心を寄せるようになる。

⑥保護者に使いやすいアプリを提供する段階になる。

【感想】
南洋女子中高一貫校とキャンベラ小学校といある意味、典型的なエリート校中高一貫校と一般的な小学校を同時に視察できて幸いだった。どのような学校でもICT教育の「導入は可能である」という事がはっきりわかった。
しかし、同時に、ICTを導入して何をするかという目標、また何のために導入するかという目的を明確に持つということの大切さも感じ取ることができた。
先のエリート校では高度な情報処理や今欧米で話題となっている「反転授業」が可能となるような域まで到達することを目標とし、国際的に通用するグローバル人材育成の武器となるツールとして考えられている。
一方で、経済格差社会にあって、そこから抜け出す、あるいは到来するであろうIT社会での生活の基礎技術としての教育ICTも考えられている。
ただ導入することだけを目的とすれば、子供たちには単なる便利な箱として三日で飽きられてしまう。なぜなら実際のICT環境のそれとは違い、教育ICTは様々な制限が加えられた、ある意味「不完全な」「不自由な」デバイスにならざるを得ない。
割り切って限定的な使用とならざるを得ない教育ICTとはいえ、それを十分に活用していくためには教師の側のスキルがかなり求められる。
ここをどう本市でクリアしていくのかが、課題となろう。
また、財政的にも義務教育の期間中、一人一台を持続可能にしていくのには相当な決断が必要である。
持たせて終わり、一年だけ配って終わりにしては大阪市の教育は物笑いの種になる。
継続的なまた、明確な目的と目標を示して初めて、全市展開を決めなくてはいけないと改めて感じた。