シンガポール視察 平成26年1月26日(日)~1月29日(水) 3泊4日
リゾート・ワールド・セントーサ

 視察2日目最後は、2010年にオープンしたセントーサ島の巨大統合型リゾート(I R)「リゾート・ワールド・セントーサ」を訪れた。島とはいっても橋やケーブルカーで往来ができるが、景観上高さ制限がかかっているため、先に視察したMBSとは全く趣を異にしている。
しかもユニバーサルスタジオ・シンガポール(USS)や世界一大きい水槽を有する海洋水族館を巻き込んだ形の、49万㎡の広大な敷地を持つ。

MBSでも力をいれているMICE事業の会場ここでは中心に位置し、それを取り囲む形で各種のホテルがある。世界一の水族館やウォーターフロントを上手くコンベンションルームや、ホテル、コテージにも取りこみ、他では見たことのないような空間演出や客室作りを成功させていた。遊び心満載で、どちらかと言えば、滞在型リゾートと言ってもよい盛りだくさんの仕掛けがあり、富裕層から家族連れまでが満足できるような各種のホテルやアミューズメント施設、ショッピング・ゾーン、レストランなどがあった。プレゼンによると、リー・シェンロン首相や皇族も来訪されるVIPゾーンもあるとのこと。

もとはイギリスのgentlemen’s clubである
クロックフォードが前身。小規模なカジノであるブティック・カジノだった。

【Q&A】
Q:大阪へ投資するとすれば?

A:カジノによる経済効果としては最後のチャンス。マカオのようにたくさんカジノが出来てしまうとダメで1か所にするべきだ。観光による増収効果は少なくとも4000億円。5000億は見込める。

Q:マーケットはどこにあるのか?

A:30年の経験からすれば空港を中心に3時間圏内。関西は京都・奈良・神戸など非常に魅力的な都市だ。

Q:雇用は日本現地で調達するのか?

A:70%は現地でと考えている。

Q:ディーラーは上海で研修とのことだが?

A:英語・中国語は必須。交換留学生やインターンシップなどを考えている。

Q:CEOの目から見て、日本と韓国とどちらが優位か?

A:大阪のほうが文化・歴史がある。欠けているとすれば、クリエイティブなマーケティング。これは重要。

【感想】

二つのカジノが2012年同時オープンして日本では圧倒的にMBSの知名度が高い。ともにギャンブル依存症に対する対策や、犯罪などに対する規制を国レベルで行っている。確かに税収・経済波及効果・雇用創出などは想像以上だったが、観光資源に乏しく、意思決定も比較的容易な都市国家シンガポールであるからこその起爆剤として機能したのではないか。既存の文化との共存共栄が図られるかどうかも課題である。大阪が世界に誇る無形文化遺産「文楽」補助金カットや、自治体が持っていた日本で2つしかないプロの吹奏楽団「大阪市音楽団」を手放すなど、現市長の大阪の文化に対する考え方はこのIRの文化志向と相容れるのか。「大阪のお坊ちゃん、お嬢ちゃんはばくちに幼いころから慣れ親しむべし」、「猥雑なものはすべて大阪が引き受ける」というかつての市長発言など、そもそも今回の統合型リゾートが目指している方向と合致しているのかどうかも極めて疑問である。

また、こうした視察に現地へ行くと、大抵は良い面しか見せられない。ましてや今回は相手が民間企業で、大阪が有力な候補地であればなおのことである。

さらには、介護・看護・建設の分野で外国人労働者受け入れの議論が国で議論になっている。このような観光・集客・娯楽の世界でも外国人労働者前提のIRであることを考えれば、単一民族国家として長い歴史のある我が国の根幹にかかわる問題として、そういった議論も当然必要になってくることだろう。

バスに乗り遅れないようにと結論を急ぐのではなく、経済の物差しで目くらましに会わないように、プラス面、マイナス面ともに反対論者・賛成論者の双方の意見をすべて詳らかにしたうえでのことだが、住民と自治体の合意形成は今後どのようにしてはかられていくのだろうか。もちろん国の法制化を見定めなければいけないが、慎重にIR議論を進めなくてはいけないと改めて思った。